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『アフリカのへそ』

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2005年 07月 16日

「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」を読みました

読んだぞー。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ついに。
全449ページもの長い小説ですが、一気に完読してしまいました。
(8時間かかった)


図書館に購入リクエストを出していたのが、昨日やっと入荷しました。

手に取った瞬間、とても綺麗な本だと思いました。
リリー・フランキー氏本人による、真っ白で美しい装丁。
ぱらりと表紙をめくると、朝靄けむる東京を写した写真。
さらにめくると装丁・挿画・撮影にリリー氏の名前。 
リリー・フランキーではなく本名で載ってたのには、驚いた。 その横には題字を書いた人。 
同じ名字なので、おそらくお父様でしょう。

この本をとても大切に、丁寧に作り上げたリリー氏の魂が読まずとも感じられました。
本当はその場ですぐに読みたかったのですが、なにか片手間で読んではいけないような気がしたので、帰宅して夕飯・風呂を済ませてから、あらためてオープン。

内容:
リリー氏の自伝的小説です。 筑豊の炭坑町で育った幼少時代から最近に至るまで。これまでにいくつか出てる、彼のエロバカなテイストの著作とは全く異なる趣の1冊。 

感想:
文句なく★5つ。 私の中で、今年のBEST1(たぶん、ね)。

自伝的小説は世の中にたくさんある。 大切な人との別れが出てくる話もきっと多くあるでしょう。
今までに読んだその手の本でも、これは読み物として本当に素晴らしいと思う。
親ならこの本に書いてあることなんて ”そんなん親なら当たり前だ”と思う人もいると思う。
けれど悲しいかな、私はまだ親になったことがないので、そんな当たり前のことがわかっていない。 いまだにわからない。
  
   「本当に誰かを思いやるって、こんなに激しいんだ」

ことばにすると実にクサイですが、このことが一杯詰まっている本です。




「オトンの人生は大きく見えるけど、オカンの人生は十八のボクから見ても、小さく見えてしまう。それは、ボクに自分の人生を切り分けてくれたからなのだ。」

話の真ん中あたりに出てくるこの一文に、リリーさんとお母さんの関係が表されています。

冷静に読んでみよう、と思って読んでいましたが読み終わるころには、ポロポロ泣いてしまいました。

本当にいい本だと思いましたが、もう一方では「ずるいなあ、リリーさん」とも思いました。

いつものリリーさんが提供するエロ・バカエンターテイメントが私は大好きです。 だからこそ、リリーファンとしてこの本を読むことは、”リリー・フランキー”という芝居の舞台裏を見るのに似ている。
この本を読んで、なぜ普段のリリーさんがあそこまでくだらない事をネタにした仕事が多いのか、どうして女性に対して厳しい美意識を持つのか、言葉では説明できないけど何となくわかってしまったのです。
自伝小説でここまで感動させるなんてズルイよ、リリーさんって感じで。
おそらくリリーさん本人は誰かを感動させるためでも、評価を上げるつもりでこの本を書いたのでもない。
お母さんのために彼が出来る精一杯のことが、きっとこの本を書くことだったのでしょう。

うーん、うまく言えませんが、”ズルイ”もまた誉め言葉なんですよね。
それだけこの1冊が素晴らしいっていう。。。

by KilimanjaroID | 2005-07-16 09:42 | Book


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