2006年 10月 31日
10月30日(月) 朝、バスルームで用を足していた。 寝ぼけまなこで目の前に置かれたタライを見る。 ほとんど空っぽ。 「またジェニーだ。 水がなくなったら足しといてって言ったのに。 水がないとトイレが流せないじゃん」 朝から少しイラついた。 ふっと右に目をやると、ごちゃごちゃ置いてあった彼女の櫛やらヘアクリームやらがない。 すべてきれいに無くなっていた。 「出て行った! あいつ、とうとうナイロビに帰ったんだ!!」 ヤッホー。 なんてラッキーな月曜日。 あのタダ飯喰らいのバカ女。 ここを無料のホテルだと勘違いしていた、あの図々しいドケチ女。 ああ良かった。 とうとう出て行った。 ここ数日のジェニーは、なんだか変だった。 ママ・ローズには既に、 「もう私はジェニーには我慢できない」とこれまでのことを全て打ち明けていた。 ママ・ローズもジェニーには私と同じように感じていた。 「ジェニーはもうすぐナイロビへ帰るから」と言われて、その日をずっとずっと待っていた。 2週間くらい前、ジェニーの上司でありママ・ローズの大親友でもあるウィニーがやってきた。 ウィニーは"ナイス&ラブリー"のカントリー・マネージャー。 もうすぐアルーシャに自分のコスメ・ショップを開くらしい。 いずれはそこのスタッフになってもらうつもりで、ケニアの同郷のジェニーにアルーシャでの営業・販売をこの1ヶ月やらせてみたのだ。 当座の軍資金としてウィニーは20万シリング(約160ドル)と携帯電話をジェニーに渡した。 ジェニーの仕事はナイス&ラブリーの商品をアルーシャのスーパーやコスメ・ショップなどに卸し販売し、利益を上げること。 もちろん生活費もこの中に含まれている。 必要な食料品などもこれでまかなっている、と当然ウィニーは思っていた。 ところが2週間前にやって来て、ママ・ローズの話を聞いてビックリ。 食料品は何ひとつ買ってこない。 ママ・ローズや私に金の無心をしてくる。 携帯を使わせろと言ってくる。 その割に増えている彼女の新しい靴や服やアクセサリー。 その日、ウィニーはジェニーから携帯電話を取り上げて帰っていった。 ウィニーが帰った次の日、ジェニーはまたもや携帯電話を貸してくれと言ってきた。 もちろん断った。 この頃からジェニーが以前とは違う雰囲気になっていった。 私に以前のように親しげに接することもしなくなった。 水汲み、食事の支度なども段々とやらなくなっていった。 おそらく自分の居心地の悪さを感じ始めたのだろう。 ママ・ローズもジェニーが出かけると、私に彼女の愚痴をこぼすようになった。 ジェニーが出て行くのは時間の問題だった。 今日はママ・ローズからたっぷり1時間、ジェニーがいかに金の無いフリをしながら実はそうではなかった、という話を聞く羽目になった。 ジェニーは納品した商品の代金は全て回収したらしい。 そしてそれは本来ウィニーが受け取るべきだったが、ウィニーにはついに1シリングも払わなかった。 さらに出て行く前日には”Reds”というお酒(私も大好き。リンゴ味のチューハイ)を6ケースも買い込み、ナイロビへ持って帰った。 たぶんナイロビで売るのだろう。 1ダース24本入りだから、安く見積もっても10万シリング以上はしたはずだ。 そんなお金を持っていながら、金のない素振りを見せ、食料品は全く買ってこず、私たちには返すつもりのない借金の申し込みをする。 今朝は6時前のバスでナイロビへ出発したらしいが、出て行く前にしっかりと家でパンを食べていったらしい。 数日前に私が買ってきたパンだ。 また彼女の節約に協力してしまった。 「世の中には恥を知らない人間がいるんだよ」と、ママ・ローズが言った。 ジェニーはナイロビでも日曜協会に行くんだろうか? 熱心なキリスト教徒だとしても、それと金とは別の問題なのだ。
by KilimanjaroID
| 2006-10-31 23:08
| Africa-Arusha
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