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『アフリカのへそ』

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2006年 11月 03日

しゃべるココナッツ

“ムチャウィ”。 日本語で呪術師。 英語に訳すと“Witch”。
呪いをかける人のこと。

タンザニアでも、まだまだムチャウィを信じている人がいるのだ。
友人のジャネットから聞いた話。


「それで彼女はムチャウィの呪いのせいで、大変なのよ。」
「はあ。 それで具体的には何が起こるの?」
「彼女は大学生なんだけど、いつも授業のために教室に入るたびにペンが持てなくなる。 
眠くなってしまう。 勉強ができないの」
「まっさか~」
「本当だよ。 それで夜には寝ている間に誰かにレイプされてる。」
「そんなの不可能だよ。 そんな事があったら目が覚めるでしょ。」
「目は覚めないの。 でも起きると体に跡が残ってる」
「誰かが夜中に部屋に忍び込むの?」
「シェタニ(悪霊)よ。」
「誰がムチャウィに、依頼したの?」
「彼女の義理のお母さん。 彼女と仲が悪いから。」





また別の日のジャネット。

「あのムチャウィの呪いで苦しんでる友人、どうした?」
「あれから連絡取っていないから、わからない」
「今でもムチャウィを信じてる?」
「もちろんだよ。 私の兄弟の嫁さんでタンガ出身の人がいるけど、タンガにはムチャウィが多いっていうよ。」
「本当?」
「本当よ。 タンガに行くと、その辺に落ちているココナッツの実がしゃべるんだって。 
ココナッツが“僕を連れて帰って~”ってしゃべるんだって。 それがムチャウィの呪いだよ」
「はぁ? 」
「頭に話しかけるのよ。 あと市場でよくお米が売ってるよね。 あのお米をすくうもの、なんて呼ぶ?」
「コップ?」
「あれは赤ん坊の手なんだよ。」
「はぁあ?」
「赤ん坊の手で、お米をすくうと商売繁盛するからだって。 でも普通の人にはただのコップに見えるのよ。
ムチャウィが呪いでコップに変えてるんだよ。 
タンガは恐ろしい場所だよ。 私は絶対にタンガへは行かない!!」


その晩、ママ・ローズにもムチャウィのことを聞いてみた。
「タンガ地方にムチャウィが多いらしいけど、ママ・ローズはムチャウィって信じる?」
「ああムチャウィね。 ココナッツがしゃべるとかいうやつだろ。 昔は信じていたけど、今は神様を信じてるから、ムチャウィなんて信じないね。 
神を信じていれば大丈夫だよ」

ママ・ローズは大変熱心なクリスチャンである。 
彼女と会話をしていると最後はなんでも”神様”の話になってしまうのだ。
だが、ここでも“しゃべるココナッツ”のことが出てきたのには驚いた。


ビザ代理人のオフィス。
「私のビザが遅れているのは、もしやムチャウィが呪いをかけているのでは?」
「ハハハハ。 本当にできるかやってみようか?」
そう言いながら携帯を取り出す代理人。
「えっ。 ムチャウィの人を知っているんですか?」
「知ってるよ。 だから約束の20ドルを寄付しなかったらムチャウィに電話するぞ」


「タンガは海岸沿いの港町で、シーフードが美味い。 一度行ってみるといい。」 
とはある日のビザ代理人の言葉。
アルーシャに住む白人たちがこぞって別荘を買いたがるほど、大人気のビーチ・リゾートもある。
私もぜひ一度行ってみたいと思っていたのだ。
しかし今やタンガに別の一面が見えてきた。 
しゃべるココナッツを確かめるためにも、ぜひ一度タンガへ行かなくては。

by KilimanjaroID | 2006-11-03 17:50 | Africa-Arusha


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