『アフリカのへそ』

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2006年 11月 16日

ウィニー

ウィニーはよくこの家にやってくる。 以前はこの家に住んでいたこともある。
ママ・ローズの大親友であり、あのジェニーの雇い主だった人。
象みたいな巨体を揺さぶって、”ギャーッハッハッ”とよく笑う。 
とてもパワフルで素敵なお姉さんだ。

ウィニーは私より3つ年上、ケニアのキクユ人。
ジェニーやママ・ローズ同様、以前は結婚していた。
(なぜかこの家には男運のない、独身女性が集まる傾向がある)。 
中学生の一人娘がナイロビの寄宿学校にいる。
5年前にナイス&ラブリー社にセールス・レディとして入り、
今やケニアのカントリーマネージャー。
仕事人として有能だということは、少し話せばわかる。
とても頭がキレるし、働き者だ。
マーケティングのため、ケニア&タンザニアの主要都市をスーツケースを抱えて、
しょっちゅう飛び回っている。
アルーシャにもよく来る。

2週間前の土曜日、ママ・ローズの大事なお客さんが我が家に泊まりにやってきた。
いちおう掃除は済ませてあったし、ママ・ローズがシチューを作ってあったので、
後は私がご飯と野菜炒めを作るだけ。 
私がキッチンに立っていると、ウィニーは何やら部屋を掃除し始めていた。
見ると、居間が見違えるように綺麗になっているではないか。
新品のランチョン・マットが敷かれ、蟻が這っていたティー・テーブルはクロスが取り替えられ、
砂糖やポットがキチンと整頓されている。
いかにもこれからお客様をお迎えしますって感じだ。 
すごーい。 なんて素敵な心配り。 しかも綺麗好き。 あのジェニーとは大違いだ。

「私が男だったら、ぜったいあなたを放っておかないよ。 再婚とか考えないの?」
「結婚なんてもういいわよ。 だいたい何のために結婚するの? 
しょっちゅう妻を殴るし、女をヤギみたいに扱ってさ」



そうなのだ。
ウィニーの前夫はアル中で、かなりの暴力をふるっていたらしい。 
「理由なんてないわよ。 妻だから。 アフリカの男は妻を殴るのよ」

ここでは、こういう話は珍しくない。 
仕事がない。 あっても収入はわずか。 生活が苦しい。
家では妻が子育てに家事にと、朝から晩まで忙しい。 
「あなた、来年から子供が小学校よ。 制服を作らなくちゃ。 それとお米がもうないわね・・・etc.」
やり場のないストレス。
飲酒。 暴力。
だから離婚も多いのだ。
もちろんアフリカ人の夫が誰でも妻を殴る、というわけでもない。
あのジェニーは一度も夫から手を上げられたことはない、と言っていた。


だがウィニーは明るい。 底抜けに明るい。 そして優しい。 ついでに気前もいい。
人生の暗い部分を感じさせない、余りある太陽のような明るさ。 

数年前、彼女は交通事故で左足首に大怪我を負い、しばらく松葉杖で歩いていた。
今でも左足首にパックリと残る傷跡が痛々しい。 
もう一生、普通には歩けないんじゃないかと思っていたが、歩けるようになった。
(ママ・ローズいわく、「毎日神に祈ったから、治った」そうだ)

ジェニーが出て行った後、ウィニーとママ・ローズはよく彼女をネタにゲラゲラ笑っていた。
「あなたがまだこの家に来る前よ。  ある日、部屋に汚いパンツが干してあってさ。 
白だけど、もう茶色くなってんの。 なにこれ?って思ったら、あの子のだったのよ! 
ギャーハッハ」

明日、ウィニーはムアンザでの出張を終えてアルーシャに帰ってくる。 
ママ・ローズの喜びようが目に浮かぶ。
今度はどんな笑いとおしゃべりを聞かせてくれるのか、楽しみだ。
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by KilimanjaroID | 2006-11-16 07:56 | Africa-Arusha


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